Manufacted by YAMATO DISTILLERY in Nara JAPAN

KIKKA GIN JOURNAL

橘花KIKKA GIN 澪標のこと

はじめまして。大和蒸溜所の広報と諸々の補助をしております古高と申します。

普段は日本酒のほうの仕事にも関わっている、油長酒造で唯一のジンと日本酒を兼務している人間です。
今回、1年3ヶ月ぶりのリリースとなりましたステンレスボトルの限定ジン「橘花KIKKA GIN 澪標(みおつくし)」の企画・製造に携わるという貴重な経験をさせていただいたので、僭越ながら澪標の誕生秘話(?)などいろいろと、ここに記録させていただきます。
最後までゆるりとお付き合いくださると幸いです。

橘花KIKKA GIN 澪標のこと

奈良の和梨(以下、「梨」と表記します)をキーボタニカルに据えようと至ったきっかけは、以下の3つのポイントでした。

  • ①奈良の梨という意外性・魅力
  • ②奈良の梨の礎を築いた奥徳平という人物のストーリー
  • ③梨が好き

①奈良の梨という意外性・魅力

“奈良には梨の名産地がある”
関西圏にお住まいの方は知っているかもしれませんが、それ以外の地域の方はほぼピンとこないのではと思います。北海道出身の私も漏れなく全く知りませんでした。

ではなぜそんな私が知り得たかといいますと、奈良に移住して間もない頃、
「家族で梨狩りに行きたい!」
と思い立ち(北海道では毎年のように行ってたので)、全国的に有名な産地である鳥取県の果樹園を調べたところ、奈良からは車で片道3~4時間・・・。幼い子を連れて日帰りで行くにはなかなかの距離。もっと近場で狩れないのだろうかと調べました。

なんとあるではありませんか。梨の産地が。
“大阿太高原” おおあだこうげん??
奈良県中部に位置する大淀町と五條市にかけて広がる大阿太高原は、私たちの蔵のある御所市のすぐ隣にあります。

大阿太高原は、標高150~200メートルにある丘陵地帯で、昼夜の寒暖差が大きく、赤土に小石が混じった土壌は強粘土質でミネラル分が多く含まれていることから、梨の糖度を高めるとされています。高原特有の気候と梨づくりに適した土壌からは、甘みと酸味のバランスが良い高品質の梨が育つのです。

木に成っている状態で完熟してから収穫する“樹上完熟”収穫という栽培方法により、夏の日差しをたっぷりと浴び、糖度・香り・歯ごたえの3拍子が揃った最高のタイミングで一つ一つ丁寧に収穫されており、加えてそもそもの耕作面積が小さいことなどから、全国規模で流通しておらず、奈良の梨はまさに知る人ぞ知る「まぼろしの梨」なのです。

②奈良の梨の礎を築いた奥徳平という人物のストーリー

大阿太高原が梨の産地として栄えるようになったその歴史には、奥徳平(おく・とくへい)という一人のキーパーソンが存在します。

奥氏は、札幌農学校で当時最新の農業・園芸技術を学び、その後、果樹栽培に適した土地を探して1902年に、北海道から奈良県大淀町(当時は大淀村)に家族で移住し、「薬水園」という果樹園を開きました。奥氏が育てた二十世紀梨(当時は勝利(かちどき)梨)は、国内のみならず中国や極東ロシアにも輸出され評判を呼び、大淀町は梨の一大産地として知られるようになります。

奥氏のエピソードの一つとして、黒斑病に弱い二十世紀梨を守るため、医療用のパラフィン紙を果実にかぶせ防除することに成功。この方法は全国に広まり、100年以上経った今でも使用されています。奥氏の最も大きな功績とされています。

今回の「橘花KIKKA GIN 澪標」という名称は、北海道から海を渡り、100年先に続く奈良の梨の“道しるべ”となった奥氏へ敬意を表し命名したものです。


澪標・・・舟が安全に通航できるよう水脈(みお)の中の浅瀬を知らせる航路標識。行き交う舟のための道しるべ。

古くは万葉集にも「身を尽くし」と掛けて歌われ、奥氏が梨栽培に“身を尽くし”、傾けてきた情熱は脈々と受け継がれ、現在も奈良の大阿太高原では40軒以上の農家さんが、たゆまぬ努力で高品質の梨を栽培し続けています。

そういえば、今回のステンレスボトルからちょっとした変化があるのですが、気づいた方はいるでしょうか?実は蓋にもボトルと同じ色を入れられるようになりました。これまでのボトルは皆、蓋はプレーンなシルバーカラーでしたが、今回はボトルと同じ赤梨を思わせるブロンズカラーになっています。気づいた方はかなりの橘花ジンマニアですね。

橘花KIKKA GIN 澪標

③梨が好き

これは私の個人的な趣向です。
前述のとおり、家族で毎年梨狩りに行くほど梨好きであることが、澪標の企画に影響していることは実は結構大きい要因です。

関西圏外の出身者ならではの着眼点である、奈良の梨に対する意外性とその魅力、奈良の梨の礎を築いた人物が北海道から奈良に移住したという、自分とリンクするストーリー。色々と個人的な感情が多いように聞こえますが、梨は昔から百薬の長といわれ、さまざまな薬効があることも知られていますので、薬の歴史・文化が深い奈良の風土を表現するにはぴったりの素材なのです。

ただ、ほとんど水分で構成されており、そもそも香りも派手ではない梨は、蒸留してもなかなか香りが抽出できないだろうと思い、2回の蒸溜で合計130kgほどの大量の梨を使用しました。梨の仕入れは、大淀町の真田園様から、いわゆるB級品を買わせていただきました。B級品といってもサイズが小さかったり、キズが付いていたりするだけで味は超一級品です。豊水・南水といった赤梨を中心に、二十世紀梨などの青梨もありましたが、甘みが濃くジューシーでとっても美味しいです。真田園様にはとてもお世話になり感謝しております。シーズンには直売もしており、足を運ぶ価値ありです!

蒸溜所長の板床と二人で仕込みをしましたが、一日中、皮を剥いて細かくカットするのは、それはもうめちゃめちゃ大変でした。そしてその苦労の末、蒸留したところ・・・やはり香りの量は少なく、他の要素をプラスする必要が出てきました。梨は難しいですね・・・世の中に梨を全面的に押し出したジンが無い理由がよくわかりました。 板床からのアドバイスもあり、いろいろ試行錯誤した結果、レモングラスで爽やかさを、いちじくの葉と木谷ワインさんから譲り受けたモンドブリエのポマース(搾りかす)で味わいに厚みを持たせることとなりました。もちろん全て奈良県産です。

結果的に、グラッシーで複雑な香りの中にも梨由来の艶やかな甘味、レモングラスの爽やかな要素が感じられる、そこそこ美味しいジンに仕上がったのではないかとほっとしています。梨の香り(厳密には梨の蒸留液の香り)もほんのりと感じられるのですが、蒸留した当人たち以外には感じられないかもしれません。苦笑
個人的にはジンソーダよりもジントニックのほうがオススメです。
そして最近試して発見しましたが、コーラで割ると抜群に美味いです。コーラのちょっと薬草っぽいニュアンスと合うんですかね。澪標コーク、ぜひ試してほしいと思います。

橘花KIKKA GIN 流転のこと

これからも関西圏外の出身者ならではの視点も活かしつつ、橘花ジンを通じて奈良の知られざる魅力を発信していきたいと思います。年1回くらいは企画・製造に関われたらいいなと思っています。奈良のポテンシャル、まだまだ発掘していきます。

長々と書いてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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